この写真 何の変哲もない木。私が京都の定宿のホテルを一歩出ると目の前がケヤキ(?)並木。そして 最近東京では聞くことの出来ない程の煩い 喧しいセミの鳴き声。まるで気が狂ったように鳴く何十匹、何百匹のセミ。
このセミの鳴き声を聞くと私は昭和28年の七夕の日がよみがえってくる。
7歳のわたしは嵯峨小学校の教室で授業を受けていた。突然家から迎えが来て先生が「田村君すぐお家に帰りなさい…」 。
私は一人教室を出て暗い長い廊下を歩いて玄関へ。すると下駄箱の所に家の番頭さんがポツンと立っていた。学校から家まではブラブラ歩いて10分位だっただろうか……
普段僕に良く話し掛けてくれる番頭さんはその日は一言も話し掛けてくれなかった。その帰り道は車の轍の所だけが土であとは草だらけの田舎道。そして道端の木々からは耳をつんざく様なセミの声。ミーンミーンミーン… 60数年経った今でも、あの日のセミの鳴き声を耳が覚えてる。
あの7月7日の七夕の日…私が7歳。 父が亡くなりました。セミがとってもうるさい日でした。