私の役者生活３０年間の中で、もっとも撮影日数がかかり、内容も一番ハードだった映画がこれです。仏教の世界と、近親相姦をテーマにした非常に奇抜な映画だったと思います。私もお客様の入りが心配で切符を買って映画館に入りましたが、扉をあけたとたん、溢れんばかりの立ち見でなんと人の背中しかみえません。このお客様は実相寺監督のあの独特な映像を見に来たのか、それとも話題になった過激な濡れ場を見に来ていたのか。
数ヶ月後、ニューヨークに住んでいた友人から、絶賛された記事の切り抜きが送られてきました。そしてキネマ旬報では２位でしたが、スイスのロカルノ映画祭でグランプリをいただいた想い出深い映画です。
by 田村 亮