「怒涛一万浬」

 デビュー2作目でカナリア諸島ロケに連れて行って貰いました!
アフリカ大陸の西海岸、北の方に位置するカナリア諸島のラスパルマスと云う街。

 私にとって生まれて初めての海外でした。「カナリーアイランズ」・・・美しい名前ですネ。「怒涛一万浬」と云う遠洋漁業で何ヶ月も日本を離れてマグロ漁りで生きる男達のドラマ。
 私はまだ20才で、1966年頃。当時はまだジャンボ機もなく、確かKLM航空のプロペラ機でした。途中アラスカのアンカレッジに経由してそこで給油。そしてオランダのアムステルダムへ。アムスでは一泊して翌日イベリア航空でラスパルマスへ。

 アムステルダムでは監督達に誘われて4〜5人でアムステルダムの街をブラブラ観光。運河沿いの通りには、あの『飾り窓の女』の部屋がいくつも並んでました。イヤ、イヤ・・・話には聞いていたけど・・・「これが飾り窓の女か・・・」とただため息ついて遠目に眺めるばかり。オランダ語が喋れたらなァ・・・と日本男児。指をくわえて全員ホテルに戻る・・・。(あゝ、情けない・・・)

 そして翌日、真っ青な海に浮かぶ島々の真っ白な砂浜。カナリア諸島、ラスパルマスに着きました。
 当時はスペイン領で言葉はスペイン語。今ではサッカーのスペインリーグに「ラスパルマス」のチームがあり、時々テレビで耳にすることがあります。ラスパルマスはその頃、太洋漁業がマグロ漁の基地にしていて日本人の船乗り達が良く繁華街に飲みに行くらしく「クラブ銀座」とか「バー東京」とか・・・日本語のネオンの看板が目に付きました。
我々も一軒飲みに行きましたが、私達が日本人だと分かるとすぐに当時世界的に大ヒットしていて坂本九さんの『上を向いて歩こう(スキヤキ・ソング)』のレコードをかけてくれました。


もう45年以上も昔のこと・・・
今は随分と変わったことでしょうネ・・・カナリア諸島もラスパルマスも・・・。

※当サイト「DIARY」の第55回『私は「お茶・大好き人間」なんです』でラスパルマスの事に触れてますので是非ご覧ください。


by 田村 亮